理事長挨拶

理事長 池邉 哲郎

日本国憲法第13条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」、とあり、日本国憲法第14条では、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」、とあります。

すなわち、性別、年齢、職業、宗教、人種、価値観、趣味嗜好が違ってもすべての国民は平等に尊重されなければなりません。

一方で、ダーウィンの進化論の要諦は、変化しやすい厳しい環境に対して、偶然の産物である多様な遺伝子変異、つまり多様な個体をあらかじめ用意することによって、生物種の持続可能性を高めることかと思います。日本国憲法とダーウィンを多少こじつけて考えますと、私たち個々のダイバーシティの保持は、私たちの社会全体の持続性(言い換えますと、社会の活力の源泉)に通じるものかと思います。

日本口腔外科会も口腔外科の臨床・教育とその研究を通じて日本国民に貢献する1つの社会ですから、学会を持続可能とするためには、国民、患者、そして会員のダイバーシティ、すなわち男女共同参画やLGBT(LGBTQ、LGBTQ+)の参画を尊重しなければなりません。むしろ学会等の学術団体は「学問の自由」をその柱としている訳ですから、学問する人間同士は、学問の前ではお互いを尊敬し合って、学問的な立場や研究発表の機会において、当然平等でなければならないでしょう。学会内で問われるのは、学問の科学的なエビデンス性、客観的な価値や研究倫理であって、研究者の個人的な背景ではないはずです。

ダイバーシティを尊重するという私たちの立場は、いくら言葉で主張しても実践が伴わなければ意味がありません。さらに私たちの心の奥深くの意識(本心、先入観)が変わらなければ意味がありません。そこで学会内にダイバーシティ推進委員会を設置した訳ですが、さらに学会の外へ私たちの意識をアピールするためにダイバーシティ推進委員会のホームページを立ち上げました。学会の内外で私たちの方針を明瞭にして、会員個々の意識が本来性なものになるように願っています。

まずはあなたの(私の)意識を変えていきましょう。